11.ヒマラヤの地質
ヒマラヤ地域で最も古い岩石は古生代以前の先カンブリア紀(5.7億年以前)の変成岩や花こう岩である。ヒマラヤ地域の地質図を見ると、これらの岩石がこの地域の基盤岩となっており、その分布はヒマラヤ山脈、カラコルム山脈、コンロン山脈ではほぼ東西方向である(図2)。そしてチベット高原の東部とパミールではその分布が南方に大きく曲がった対曲構造をしている(注6)。ヒマラヤ山脈の基部には、強い変成作用によってできたと考えられる岩石が広くヒマラヤ地域に分布している。この変成岩類は、ヒマラヤ片麻岩と呼ばれている。一般に地殻の下部ほど温度と圧力が高くなり、岩石はより強い変成作用を受ける。ところが、このヒマラヤ片麻岩ではより上部に強い変成作用によってできたケイセン石やランショウ石などの鉱物が含まれており、古くからヒマラヤ山脈の地質学の問題とされている。
これらの基盤岩の上を先カンブリア紀末期から古生代の弱い変成作用を受けた堆積岩(変堆積岩)が覆っている。この変堆積岩は主としてヒマラヤ山脈南面などに分布するが、これまでのところストロマトライトという一種の石灰藻のほかは化石が見つかっていない。
これらの基盤岩の上を先カンブリア紀末期から古生代の弱い変成作用を受けた堆積岩(変堆積岩)が覆っている。この変堆積岩は主としてヒマラヤ山脈南面などに分布するが、これまでのところストロマトライトという一種の石灰藻のほかは化石が見つかっていない。