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ヒマラヤ・フィールド報告-セティ川洪水とマディ川氷河湖決壊洪水の原因-

8)おわりに

   最後に余談になるかもしれないが、さらにマディ川下流の川沿いにあるLamakhet村民は毎年のように洪水がおこる、とこぼしていた。最上流からのGLOFに加えて、マディ川中流右岸のTaprang村周辺の崩壊土砂がマディ川の本流を堰き止めるため、堰き止め湖が形成・崩壊し、2006年や2007年、2011年にも、現河床の茶店が洪水被害にあったそうだが、これらは上流の氷河(湖)現象とは異なる、と解釈できる。また(最後に蛇足ながら)そもそも、セティ川最上流域のバッドランド地形に、なぜこのような大規模な粘土層と思われる堆積物が形成されたのかを想像してみると、ポカラ谷を埋めた大規模な洪水流の発生地であるこの地にはかつて広大な湖があり、その湖に粘土質物質が堆積したのではないか、と推定している。ポカラの町のある谷を埋め立てた大洪水流後、かなりの部分の湖底堆積物が残り、干し上がった湖沼堆積物の浸食が進むにつれて、おもに粘土質部分から構成されるバッドランド地形が形成された、のではなかろうか。従って、大規模なバッドランド地形は依然として残っているので、今回のような泥質・粘土質の洪水は、水さえ供給されれば、今後とも発生するものと考えられる。