2016年ネパール通信7 カトマンズからポカラへ-スモッグの原因ー
2016年5月1日、国際山岳博物館で展示更新を行うため、バスでカトマンズからポカラへ向かいましたが、今朝のカトマンズも相変わらずのスモッグ空 で、ヒマラヤが見える気配はありませんでした。どうして、こんなにスモッグが濃いのか、道中見ていくことにします。朝7時半出発、午後2時45分着のグ リーンライン・バスです。
人の活動が盛んなターメルでは毎日多量のゴミがでるため、毎朝数地点でゴミの収集・分別が
行われています(写真1)。かつては、ビニールなどはなく、ゴミは生野菜などの生ゴミが主体で、牛が食べて、ゴミを片づけてくれていました。牛の糞は大切 な燃料ですので、乾かすために、各家の壁には糞が貼り付けられていました。1970年代までの公園都市的なカトマンズは人と牛との持続的な共生関係によっ て営まれてきましたが、牛が街中にいると車が入ってこれなくなるという理由で、牛を街から追い出してしまった。そこで、人と牛との共生関係がなくなり、 1980年代以降は、増大するビニールをともなう各種のゴミが、大気・水質汚染加えて、三大環境問題のひとつになっていきました。さらにつけ加えますと、 その結果増えたのが、ゴミを食料にするカラスと自動車にひかれたびっこの牛でした。カトマンズの街を出る時通る中央郵便局前では、カトマンズのランドマーク・ビムセンタワー*を見て、カトマンズに別れを告げたものですが、去年の地震で根元から倒れたため、写真2中央の木の後ろに立っていたビムセンタワーの光景見ることはできません。
*2015年ネパール春調査(7)
2015年ネパール地震(2) ポカラ紀行
http://hyougaosasoi.blogspot.jp/2015/05/2015-2015.html
カトマンズ盆地を出ていく時は、いくつかの川を渡りますが、いずれもバグマティ川の支流ですが、かつては清流で、魚が住んでいました。残念なことに、いまではいずれもドブ川になってしまいました(写真3)*。
*Kathmandu University Lecture―Environmental Changes of the Nepal Himalaya―
1-3. Activity of the international cooperation
http://environmentalchangesofthenepalhimalaya.weebly.com/1-3-activity-of-the-international-cooperation.htmlカトマンズ盆地の郊外では地震で破壊された建物の復旧作業が行われていました(写真4)。
カトマンズ盆地の西側の峠に着いて、盆地の中心の東方向を眺めると、盆地全体がスモッグに覆われていることが分かります(写真5)*。 カトマンズは建設ラッシュで、そのための採石場8写真5の右下)がいたるところにできています。
* 2015年ネパール春調査(9)
2015ネパール地震(4)ヌワコット王宮へ
5)カトマンズの大気汚染
http://hyougaosasoi.blogspot.jp/2015/05/2015-2015_28.htmlまた峠から、これから行くポカラ方面の西を見ても、トリスリ河沿いの谷はびっしりとスモッグに覆われていました(写真6)。これまで来た時は、いつもマナスル三山が眺められたのですが、その姿を見ることはできませんでした。
峠からトリスリ河に下っていく道沿いには何か所も崖崩れ個所(写真7)があり、雨期になると、崖崩れの被害が大きくなることでしょう。 カトマンズ・ポカラ間のトリスリ河やマルシャンディ河はいずれも大きな川で、断層沿いに流れていますので、崖崩れ個所が多くなるのでしょう。
また、森林地帯に新しく道路を切り開いたところでは、道路沿いに発生したがけ崩れが、道路下の森林地帯を覆っています(写真8)。その森林地帯は火災 のために、林床が黒く焼かれています。ポカラへの道路沿いの森林地帯はおしなべて火災の影響を受けています。このような大規模な森林火災ですが、おもに林 床の草や藪を焼くのが目的で、雨期後の草や木の実などの再生産を目的としているようですが、大規模な森林火災は大量の煙を発生しますので、スモッグの原因 になっていることでしょう。
トリスリ・バザールへの分岐点で、昨年ヌワコットへの地震調査の帰路に見た火炎樹*が咲いていた(写真9)。
*2015年ネパール春調査(9)
2015ネパール地震(4)ヌワコット王宮へ
4)ヌワコットからカトマンズへ
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泥色のトリスリ河では、ラフティング(ゴムボート乗り)が行われていた(写真10)。
ムグリン近くのロープウエイ観光地は、スモッグで展望が効かないのにもかかわらず、大勢の人を集めている(写真12)
Sample Content
*2015年ネパール春調査(7)
2015年ネパール地震(2) ポカラ紀行
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ポカラ・ゲート(門)を過ぎる(写真19)と、セティ川の本流を渡る橋を通り、街の中央部分のバスセンターに到着します。
ポカラに到着して驚いたのは、そここで山火事が発生していました(写真20)。 これまで5月のポカラに来て、マチャプチャリやアンナプルナの峰々が見えなかったことなかったのですが、この山火事がカトマンズからポカラ間の大気汚染の 有力な犯人で、その犯人はネパール人であることを示しています。
スモッグの原因
*2015年ネパール春調査(7)
2015年ネパール地震(2) ポカラ紀行
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ネパールのスモッグに関する報告「Why have our skies been so hazy?」*によると、野火、車、食事のストーブ、レンガや他の工場などの国内原因にくわえて、インド・ガンジス平原からくる国外原因をあげている。
*Why have our skies been so hazy?
http://myrepublica.com/feature-article/story/41601/why-have-our-skies-been-so-hazy.html?utm_content=bufferb5699&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer
In recent years Nepal has been increasingly plagued by air pollution. We cough through the dry season while days with clear views of the Himalayas become rarer. Several obvious domestic sources contribute, including open fires, vehicles, cook stoves, brick kilns and other industries. But Nepal is also a significant importer of air pollution: Satellite images and computer simulations show pollutants emitted on the heavily populated Indo-Gangetic plains crossing into Nepal and climbing up our valleys and slopes from October until May.
*国際山岳博物館展示
マチャプチャリ研究(1) 大気汚染と視程
http://hyougaosasoi.blogspot.jp/2013/06/blog-post_26.html
* Kathmandu University Lecture―Environmental Changes of the Nepal Himalaya―
2-3. Environment Preservation
http://environmentalchangesofthenepalhimalaya.weebly.com/2-3environment-preservation.html
2016年5月8日、ポカラからカトマンズに戻る道路沿いで見られた山火事の跡の写真を添付します。ここをクリックして編集します。