「2012年秋調査」番外編 2 ミャンマー
ヤンゴン周辺の水郷地帯
「ヤンゴンでの一日は、ヤンゴン川を対岸にでかけてトンテーという焼き物の町にでかけるのもおすすめです」と干場悟さんからは言われていたので、ヤンゴン到着翌日、早速行くことにした。ヤンゴン川の渡し場で切符を買っていると、トンテーの実家に行く日本語を話すイ・トさんが近づいてきて、彼が連れて行ってくれることになりました。彼は日本に7年ほどいて、王将や北の酒場などのチェーン店で働いていたという。泥のヤンゴン川をフェリーで渡ると、乗合タクシーでトンテーまで行き、彼の実家で一休み。すぐに焼き物屋を案内してくれました。焼き物は素焼のものがほとんどで、ヤンゴンの街角などに置かれている4-50cmほどの素焼の壺ですが、中には1mほどのものを二人がかりで作っていました。
トンテーの北西には、ヤンゴン川から引いた運河があり、焼き物が運河に面した桟橋に積まれています。船でミャンマー各地へ運び出すのでしょう。もちろん、この運河の水も泥水です。透明度ゼロとおぼしき泥水にはホテイアオイが浮かび、人々が船をこいでいるのは、中国から東南アジア、インドなどの南アジアに共通する景観です。
ヒマラヤに発した南アジアの大河は、身を切るように冷たい源流の清流やグレーシャー・ミルクの流況が中下流域に来ると、泥水になります。これまで見た黄河も、揚子江も、ガンジス・インダス両河川もそのように変化していました。飛行機から見ただけですが、メコン河もそのようでした。地球環境的に考えると、人口増加今世紀後半の地球上でもっとも大きいのがこの南アジアなので、この泥水地帯は、淡水資源の重要課題を潜在的にかかえているところであるといえるでしょう。
ヒマラヤに発した南アジアの大河は、身を切るように冷たい源流の清流やグレーシャー・ミルクの流況が中下流域に来ると、泥水になります。これまで見た黄河も、揚子江も、ガンジス・インダス両河川もそのように変化していました。飛行機から見ただけですが、メコン河もそのようでした。地球環境的に考えると、人口増加今世紀後半の地球上でもっとも大きいのがこの南アジアなので、この泥水地帯は、淡水資源の重要課題を潜在的にかかえているところであるといえるでしょう。
南アジアのモンスーン地帯には雨期と乾期があり、ヒマラヤに発する南アジアの大河地域では、とくに乾期の水資源として氷河の解け水が重要ですが、貴重な水資源が温暖化で解け続けており、地球温暖化がこのまま続くと、ヒマラヤの6千メートル前後の氷河のほとんどは今世紀半ばにはなくなってしまう、と私は考えています。黄河流域では、毎年半年以上、水の流れがない「断流状態」になっていると言われていまが、今世紀後半のヒマラヤの氷河の縮小期にはその他の南アジアの大河も「断流状態」になる可能性を視野に入れておかねばならないでしょう。さらに今世紀後半には、温暖化で世界中の氷河が解けるとともに海水温上昇で、海水の水位が上昇します。従って、人口増加の著しい南アジアの大河河口部の大都市周辺では、海水が河川や地下水にも進入してきます。すると、淡水資源の枯渇化はさらに進み、人口増加の影響を受けた数億に達する環境難民が発生するのではないか、と危惧されるのです。南アジアの大河の源はヒマラヤですので、その水源である氷河の変動を見つめていくことは、単に上流のネパールなどの山国の問題であるばかりか、南アジアの大河の河口部や沿岸部の課題でもあるのです。
以上の課題を、翌日のみならず翌々日の帰りの日もヤンゴンのスレーパゴダやミャンマー民俗村を案内してくれたイ・トさんは十分理解・納得してくれたかは疑問ですが、「じゃー、どうすればいいのか」というので、「地球温暖化を止めなきゃ」と答えると、「それで、日本はどうする、の」とつっこまれました。つぎに会う時に、はたして彼の理解は深まってくれるであろうか。