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ヒマラヤ・フィールド報告-セティ川洪水とマディ川氷河湖決壊洪水の原因-

6)マディ川GLOFの形成要因

  Sikles村民によれば、15年前には氷河湖はなく、2003年と2005年に氷河湖の決壊洪水が発生した、と言っていることから考えると、2000年前後から(Gapche)氷河の末端部が融解し、氷河湖が形成された、と推定できる。しかも、資料1では報告されてはいないが、2009年にも、洪水が発生したことをSikles村民は述べている。これも、おそらく、GLOFであったろう。

はたして、(Gapche)氷河湖(資料ではKabache Lake と表記されている)のGLOFはどのようにして発生するのであろうか。

まず考えられることは、とにかく、高度7000m周辺の氷河の崩壊が(Gapche)氷河を涵養していることから、仮に大崩壊が起こるとすれば、直接氷河湖に達し、大[津]波を発生させ、モレーンを破壊し、GLOFをひきおこす要因になるであろうことは容易に推察できる。クンブ地域のラグモチェ(ディグ)GLOFとも共通する要因がある、と解釈できる。温暖化の進行とともに氷河や岩壁の崩壊が進む可能性は大いにあるので、このようなGLOFは多発するのではないか、と危惧される。この種のGLOF発生機構は、言ってみれば、いわば“水鉄砲”のようなもので、高度7000m周辺の氷河や岩壁の大崩壊によるエネルギーで、氷河湖水が鉄砲水のように押しだされて洪水を発生させるイメージといえよう。(Gapche)氷河・湖地域を離れた調査8日目に、アンナプルナⅡとラムジュン・ヒマールの峰々に囲まれた高度約7000mの氷河が崩壊した雪崩を見ることができた。

最後に余談になるかもしれないが、さらにマディ川下流の川沿いにあるLamakhet村民は毎年のように洪水がおこる、とこぼしていた。最上流からのGLOFに加えて、マディ川中流右岸のTaprang村周辺の崩壊土砂がマディ川の本流を堰き止めるため、堰き止め湖が形成・崩壊し、2006年や2007年、2011年にも、現河床の茶店が洪水被害にあったそうだが、これらは上流の氷河(湖)現象とは異なる、と解釈できる。

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