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立山から”残暑お見舞い”申し上げます。

8月28日~31日は立山・千寿が原に行き、干場悟さんから下記のヒマラヤのデータベースの整備を教えていただき、2013年と2014年の調査写真14500枚ほどを写真データベースに新たに加えるとともに、8月29日にはケーブルとバスを継いで、室堂から一ノ越へトレッキングを行いました(図1,2)ので、今日は中秋の名月で時期的に少し遅れましたが、立山周辺の写真とともに“残暑お見舞い”を申し上げます。これからは、新たに加わった写真のキーワード付けをすすめていきたいと思っています。


1)時系列ブログ
氷河へのお誘い<http://hyougaosasoi.blogspot.jp>
2)テーマ別ウェブサイト
氷河へのお誘い<http://glacierworld.weebly.com>
3)ヒマラヤなどの写真データベース(11万点以上)
ピカサウェブアルバム<http://picasaweb.google.com/fushimih5>

8月29日は比較的天気に恵まれ、千寿が原(491m)の立山ケーブル(写真01)に乗り、美女平(977m)からはバスで室堂に向いました。途中で、幹回りが10mを越えるという立派な立山杉の巨木(写真02)やブナ林を眺めて、子供たちや観光客で混雑する室堂のバスターミナル(2437m;写真03)に着きました。「立山(雄山)に登ってこそ一人前」という伝統的な考えが地元にはあるので、たくさんの子供たちをはじめ観光客も来ていましたが、感心したのは、登山道をはじめ周辺一帯にゴミがないことでした。環境教育がかなり浸透していることに感じ入りました。
室堂の高山植物帯ではチングルマの花の時期は終わっていましたが、たくさんの綿毛(写真04)がじゅうたんのようにひろがり、ハイマツで覆われたミクリガ池(写真05)周辺には今だに雪渓が残っていました。登っていくにつれて、室堂山荘周辺の平坦地に分布するミクリガ池やミドリガ池などの雄大な展望を、雲がかかりはじめた奥大日岳山塊を背景(写真06)に楽しむことができました。一ノ越近くにはかなり大きな雪渓(写真07)があり、雪道を踏んで、室堂から1時間15分で一ノ越(2713m)に着きました。
一ノ越の南にある浄土山北面には大きな雪渓(写真08)が残り、2006年のほぼ同時期と比べると、今年の雪渓はかなり縮小していることが分かりました(写真09)。また北にある立山・雄山(写真10;3003m)が間近に眺められ、2006年の滋賀県立大学の立山実習の時のことが思い出されました(写真11)。その滋賀県立大学の一行はこの日室堂小屋に来ていたのですが、今夏の実習を終えた彼らと立山に向った私たちは、弥陀ヶ原のどこかですれ違ったのは残念でした。立山周辺の岩陰ではリンドウの花(写真12)が咲き誇り、夏山気分を満喫することができました。

PS <その他>

1) 交詢社地球環境研究会
9月4日は東京の銀座にある大森弘一郎氏の交詢社地球環境研究会で「ネパール・ヒマラヤの大きな氷河湖は、なぜ、氷河湖決壊洪水をおこさないのか?」(参考資料)を話してきました。会場には、大森氏と慶応大学同窓の多彩な方々や、中部大学の福井弘道氏、および東京大学の山田健太郎氏もおられ、興味あるご指摘を受けました。
参考資料
・  なぜ、ネパールの大規模氷河湖は決壊しないのか
ネパール中央部マナスル地域のツラギ氷河湖の水位低下現象とGLOFリスク低減機構http://hyougaosasoi.blogspot.jp/2013_05_01_archive.html
・ Fushimi et al, 1985 Nepal case study: Catastrophic Flood. Techniques for prediction of runoff from glacierized areas, International Association of Hydrological Sciences, 149, 125-130.
・  The Himalayan Times 2013 Nepal, UNDP ink deal on cutting flood risk.
http://www.thehimalayantimes.com/fullNews.php?headline=Nepal%2C+UNDP+ink+deal+on+cutting+flood+risk+&NewsID=383913
・  ICIMOD  2011  Glacial Lakes and Glacial Lake Outburst Floods in Nepal. Kathmandu: ICIMOD.2)立山・御前沢調査
立山カルデラ砂防博物館の飯田肇・福井幸太郎両氏らが9月末~10月初めに御前沢(写真13)を調査するというので、参加させてもらうことにしました。私が最も興味を持つテーマは氷河構造(参考文献1)の観点から、御前沢雪渓(氷河)の底面付近に発達する透明氷と気泡を多く含む不透明氷の互層構造が、はたして飯田氏らが報告している積雪が積み重なってできた年層構造なのか(写真14)、それとも氷体の流動によって形成されたフォリエーション(葉理)構造なのかを調査したいと思っています。というのは、年層なら積雪が積み重なった雪渓構造、バブル・フォリエーションなら流動現象に結びつく氷河構造と解釈でき、さらに地質屋の観点から言えば、前者は積雪やフィルンの堆積岩、そして後者は片岩や片麻岩の変成岩にも匹敵する大きな違いがあるからです。また、剱岳の三ノ窓雪渓のクレバス断面にも「年層と考えられる層構造がみられる」(参考文献2)との報告があり、すくなくとも、このような構造が広く見られているのは氷河構造の観点からみて、大変興味ある現象です。さらにつけ加えるならば、この構造が現在も形成されているのか、それとも過去の化石的なものか、の判断も重要といえましょう。
参考文献
1) ON PREFERRED ORIENTATION OF GLACIER AND EXPERIMENTALLY DEFORMED ICE. 1972, JOURNAL OF GEOLOGICL SOCIETY OF JAPAN, 78, 12, 659-675.
2) 福井幸太郎・飯田肇(2012)飛騨山脈,立山・剱山域の3つの多年性雪渓の氷厚と流動-日本に現存する氷河の可能性について-.雪氷,74, 3, 213-222.

3)カトマンズ大学の講義
ネパールのカトマンズ大学で2015年2月~5月に講義をするにあたり、お世話になっている友人のリジャンさんから下記のような講義内容のメイルがきましたので、50~60回(各回2時間)の講義を14人ほどの修士課程の学生にするための準備を今からはじめているところです。

1) How many classes in a week?
About 3 or 4 which we can fix. Our M. S. by Research course is very flexible. There will be no classes when students are in field. However, there will be no mountain field trip in February and March. Also, this year we are having two students from India who will come only for one semester (Sept. 2014 – Feb. 2015) and hence we have to finish theoretical classes by February 2015. Therefore, I would like to request you to have little more classes in February and then we can reduce.
2) How many student in a class?
This year we will have 9 new students (1st year, M1) and 5 old (2nd yr., M2); total 14 students.
3) What is the lecture time ?
Generally, we have 2 hours lecture slots with about 10-15 minutes breaks in between.
4) Others about the KU lecture system, if any.
Since our glaciology course is research based, we have very flexibility. Also we are doing colloquium (paper review presentation) nearly daily.